弊社ギャラリーでの鷹野隆大の個展をご案内いたします。
2011年は長く困惑した時間が続いた、と鷹野は言います。
「何を撮ればいいのかわからない」という状況下で気づいた「奇妙な感覚」。
その感覚を手掛かりに生み出された、今回の個展でご紹介するモノクロの作品を、
崩壊した光の残骸であると鷹野は語っています。一方で、その不明瞭なイメージは、鷹野が抱いている「今の気分」を表出しているのかもしれません。
作家自身の「今の気分」を視覚化した結果たどり着いた、モノクロで撮るという、
最もシンプルな写真行為。それは、鷹野にとって必要なリハビリであったともいえるでしょう。
本展では、2011年1月に発表された『タテ写真』*1 以来の新作をご紹介いたします。ぜひご高覧下さい。 *1『アサヒカメラ』(2011年2月20日発行、朝日新聞出版)誌上で発表
“title undecided”
2011年 gelatin-silver print
©Ryudai Takano
Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon
■Artist Statement
今回はモノクロ写真でなければならなかった。理由は単純で、そんな気分から逃れられなかったのだ。もちろん「気分」で片付けるのが乱暴なことは知っている。だが、これまで数々の個展をしてきて、こんなことは初めてだ。たまには気分に流されてみるべきなのではなかろうか。そんな気分だったと言ってもいいだろう。
調子が狂うのは初めてではない。しかし今回は重傷で、ずいぶん前に個展が決まっていたのに、困惑したまま時間が過ぎた。無音の空白に投げ込まれて方向感覚がつかめない、そんな感じだった。きっと地球の磁場が狂ったせいだろう。
折も折、自分の足下を黒いものがペタペタ付いてくるのに気がついた。慌ててよけようとしたが、それはぴったり付いてきた。突然“影”が現われた、そんな感覚だった。自分とは無関係にそれが在る感じがしたのだ。奇妙な感覚だった。
で、さっそく影を撮ってみた。より単純に光に反応するフィルムを使った。奇妙な感覚は写らなかった。そしてモノクロ写真だけが残った。
意地になっていたのかもしれない。光に反応した銀粒子の残骸を集めて会場に並べるというイメージから逃れられなかった。画面の中味はどうでもよくなっていた。
ここにあるのは崩壊した光の残骸である。あるいはイメージをつかみ損ねた自分のみじめな軌跡かもしれない。しかしいずれにしろ、最もシンプルな写真行為があることは確かだ。今はそれで十分な気がしている。
■会期
2012年1月17日(火)~2月29日(水)
■オープニング
2012年1月21日(土)18:30~20:00
■トークイベント
2012年1月21日(土)17:00~18:30
「周縁と終焉の終演をめぐって」新城郁夫(琉球大学教授)× 鷹野隆大
~我々はいま、誤った持ち場に執着していないだろうか。これらの無意味な「責任」を放棄し、別の世界へと動き出すことを想像してみる時ではなかろうか。周縁でありながら中心である”沖縄”を問い続ける批評家と、場所を持つ(場を所有する)ことに抗って場を横切っていく写真家が、「今」について語り合う。
新城郁夫(しんじょう・いくお)プロフィール
1967年沖縄生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、琉球大学法文学部教授。専攻は近現代沖縄文学・日本文学、ポストコロニアル研究、ジェンダー研究。著書に『沖縄文学という企て』(インパクト出版会、2003、第25回沖縄タイムス出版文化賞受賞)『到来する沖縄』(インパクト出版会、2007)『沖縄を聞く』(みすず書房、2010)。編著に『撹乱する島』(シリーズ『沖縄・問いを立てる』第三巻、社会評論社、2008)などがある。
■会場
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
〒160-0023東京都新宿区西新宿4-32-6パークグレース新宿#206
Tel: 03-6276-6731
URL: www.ycassociates.co.jp
営業時間:12:00-19:00 定休日:日、月、祝日


